錦眼鏡余話2:No75
侵略的外来種:2
 
<その1>で、「日本の侵略的外来種ワースト100」から
新聞やテレビなどで取り上げられた侵略的外来種もあります。

こうした侵略的外来種のほとんどが人によって持ち込まれたものです。
なかには、ペットショップから買ってきて、家で飼育していたものを
大きくなりすぎたり邪魔になったと言う理由で
野原や川・沼に放してしまう例もあります。
誠に無責任極まりない行為ですが、
残念ながらこうした行為はあとを絶ちません。
侵略的外来種により
日本固有の種が壊滅的状況に置かれているものもあります。

先日、ある新聞の科学欄に「アルゼンチンアリ」が大きく紹介されていました。
新聞を参考にしながら、「アルゼンチンアリ」を紹介します。

見出しは、「アルゼンチンアリ侵略中」というインパクトの強い見出しでした。
サブタイトルが「上陸20年、12都府県に拡大」でした。
アルゼンチンアリが確実に勢力を拡大していることがわかります。

アルゼンチンアリは、南米原産だそうです。
体長が2.5〜3ミリと小さいアリです。
ブラジル南部からアルゼンチン北部にかけての南米が原産とされています。

この150年間で、貿易の荷にまぎれて世界中に分布を広げています。
北米、欧州、豪州、アフリカなどの各地で確認されています。

なぜ、通常のアリより分布が広がっているのでしょうか。
その最大の要因は、
ひとつの巣に多数の女王アリがいるためだと言われています。
複数の女王アリがいるので、
駆除しても根絶できないため、たちまち回復し更に勢力を増してしまうようです。

もうひとつ、在来種のアリの全てを駆逐するほど攻撃的なのだそうです。
大きさが、たった数ミリのアリですが馬鹿にできません。
環境に与える影響が大きいと言われています。
地中海沿岸諸国では、
在来種のアリが花粉を運ぶなどしている植物が減ってしまったと報告があります。

人への被害ですか?報告例があります。
毒はないものの、家屋へ浸入して食べ物をあさったり、
就寝中の人間に行列でたかったり咬んだりもするそうです。

国内では、広島で初めて確認された後、山口に定着し、大阪や京都、愛知
などにも分布をひろげているそうです。
横浜や東京の埠頭でも確認されています。
生息が確認されている自治体では、駆除を進めていますが、
一時的に個体数を減らせても、根絶することは出来ないそうです。

毒餌を巣に持ち帰らせる方法で、アリの活動が活発になる初夏に薬剤を増やし、
99%ぐらいに減らすことができたと言う報告もあります。
しかし、1ヘクタール当たり約3万円の費用がかかるのだそうです。
農家や林業家には薬剤費用の負担が出来ません。

日本では国際港湾での防疫で、
全ての荷を調べることは不可能だと言われています。
そのための人員の確保が難しいのでしょうか。

研究者の話によると、
「アルゼンチンアリ」がもたらす環境破戒の怖さをもっと知ってもらうことが
最初の第1歩になるとのことです。
これは、なかなか気の長い話ですね。
でも、その前にアルゼンチンアリが日本中に分布を拡大し、
取り返しのつかない事態になることが予想されると考えるのは、
私の杞憂でしょうか。

侵略的外来種:終わり