錦眼鏡余話2:No49
ミーの災難:3 
 
ミーの尻尾のすぐ下が悲惨な状態になっていました。
3センチ×2センチほど、毛がなくなり赤くただれています。
ニホンザルのお尻のようです。
リンパ液でヌルヌルテカテカと光っています。
ミーは、ときどき赤くただれた部分を舐めています。
痛そうです。

化膿止めの注射が効いているのか、化膿はしていないようです。
女医さんは、「化膿止めは7月下旬まで2週間効く」と言いました。

ミーのことが心配なので、勤務が終わったら寄り道せずに
真っ直ぐ家へ帰りました。
今日も暑い日でした。
天気予報では、各地で猛暑日となっています。

ミーは、階下の廊下の1番涼しいところで長々と寝そべっています。
エアコンが嫌いなミーのために、エアコンをつけている部屋の冷気が
廊下に流れるようにドアを少し開けてあります。

傷の具合が快方に向かっているのか、
それとも、必要な治療を施さなければならないのかが知りたくて、
午後、妻が買い物から帰ってきたら動物病院へ行くことに決めました。
快方に向かっていることを祈るばかりです。

妻が買い物をせずに帰ってきました。
ミーを猫駕籠に押し込もうとすると、血膿を絞り出す作業の痛みを
思い出したのか、ミーは猫駕籠に入るのを嫌がりました。

動物病院に連れて行くと、先客はいませんでした。
すぐに、診察台の上にミーを乗せました。
今日も女医さんでした。
女医さんは、傷口を見て、
「ミーちゃん、傷口を舐めているわね。」
と、我々に言いました。
「よく舐めています。そのためか、なかなか傷口が乾燥しないようです」
と答えました。
すると、女医さんは、
「きっと、傷口が痒いのでしょう。ネコの下はザラザラしていいるので、
傷口を舐めると傷口が治らないし、乾燥しないわね」
と言いました。
「カラーをつけないと駄目ですね。カラーをお貸ししましょう。
あと、傷口がすぐに盛り上がるようなお薬をつけておきましょう。
これは、カニの甲羅から出来ています。人間も使っていますよ」

女医さんが物置みたいな部屋からカラーを取り出しました。
カラーを見るのは初めてです。
カラーとは、正式には「エリザベスカラー」と言うようです。
手術をした猫や犬が手術痕などを舐めないように首にはめる道具だそうです。
妻に聞くと、ミーが昔お腹を激しく舐めたとき、カラーを付けたことがあるそうです。

家に帰るとき、カラーをさっそくミーの首につけてみました。
こんなもの、つけられて迷惑だろうなあと思いましたが、
ミーは初めからあきらめて、抵抗もせずに装着させてくれました。
帰りは、嫌がりもせず猫駕籠に収まりました。

エリザベスカラーをつけてのミーの生活が始まりました。
本当なら体を舐めたいのに、舐めることが出来ないとストレスを抱えることが
心配なので、毛梳きを念入りにしてあげました。
また、水を飲んだり、食事をするときはカラーをとってあげています。

(ミーは、いつも鼻も頭を汚しています。きれいにしてあげても、
すぐに汚してしまいます。:カラーをつけたままで昼寝のミー。)

ミーはエリザベスカラーをつけたまま、器用に昼寝もしています。
見る見るうちに傷口が回復しているようです。
赤くただれていた傷口がピンク色に乾燥し始めました。
ただ、
カラーをつけた生活は、ミーにとって、かなりストレスが溜まるようです。

私達の願いは、1日も早くミーの傷が治ってくれることを祈るばかりです。

(ミーの災難:終わり)