錦眼鏡余話1:No33
切欠のカタクリ

3月28日に、
友人の
Sさんからメールが入りました。
切欠(きっかけ)のカタクリは、今週が見ごろだそうです。」
切欠とは、あきる野市にある地名です。
我が家から車で10分ほどのところにあります。

明日の天気予報は、一日中晴天だそうです。
「おい、カタクリの花が切欠(きっかけ)で見られるんだって。
一緒に行かないか」
私は妻を誘いました。

Sさんから教えられた通り睦橋通りを
左へ曲がり、
東秋留橋を渡りました。
橋の下を流れる水は秋川です。
3月の陽の光に煙るように鈍く反射しています。

東秋留橋を渡り終わってすぐを左折すると、
Sさんに教えられた
通り
サッカー場と野球場が左側にありました。
その手前に駐車場があったので、
そこへ車を置いて妻と
歩いて行くことにしました。

用水路に沿って
少し歩くと、
右に折れて登って行く道がありました。
「あらっ、きれいな水が流れているわ」
その脇に看板がたっています。
立看は、用水路には蛍の幼虫とその餌のカワニナがいる
ので、
水質を保つのに協力してくださいという注意書きでした。
ゴミを捨てないでくださいという立て看板のすぐそばに
心無い人がゴミを捨てています。

20メートルほどで登り切りました。
左折して道に沿って歩いて行くと、満開の白梅の林がありました。
山道を歩いて行くと、カタクリの立看が右手にありました。
すぐ脇に小道が林の中に消えています。
直感的にこの道だなと思いましたが、
ワイフが
後ろからカメラを持って歩いてきた人に
「このへんにカタクリの花が咲いていると言うので来たのですか、
知っていたら教えてください」
と尋ねると、「この道を登ぼるとすぐです」と教えてくれました。

30メートルも歩かないうちに、カタクリの群生地に着きました。
カタクリは杉の林の下で咲いていました。
カメラを持って撮影している人が何人もいました。
私も持ってきたカメラのキャップを外して電源を入れました。
参観者が群生地に踏み込まないように道に柵がしてあります。
そのため、道のすぐわきのカタクリしか撮影ができません。

私は今まで2回ほどカタクリの群生地を見たことがあります。
青梅の友田と奥多摩の御前山です。
青梅の友田は、私が30代の前半に住んだところです。
自分の住宅の道ひとつ隔てた崖地がカタクリの群生地でした。
御前山のカタクリの群生地は、見る者を圧倒しました。
どこまでも続くカタクリの花に驚いた記憶があります。
遠い昔のことなので、記憶が薄らいでしまっていますが、
切欠(きっかけ)のカタクリの花はどれも小さく感じました。

色と形のよさそうなものを選んで撮影をしてきましたが、
柵があるために限られたカタクリの中で、色と形の両方を
満足させるカタクリはなかなかありません。

それでも、30枚ほどシャッターを切りました。

色形の両方を満足させるカタクリはなかなかありませんでしたが、
カタクリの花は早春を告げる花だなあと思いながらシャッターを切りました。
今年は寒かったので、開花が遅れたのではないでしょうか。

群生地は100メートル先にもあると聞きましたが、
多分ここと同じような感じだろうと思い、妻と帰ることにしました。

途中、切欠のカタクリ情報をくれたSさんに会いました。
Sさんは、友達数人と連れ立って坂道を登ってきました。