ヴィオラ・ダ・ガンバのススメ

 楽器を弾くは楽しいものですが、なかでも弦楽器というのは憧れる人が多いのではないでしょうか。しかし、実際にあこがれの楽器を手にすることの多いギターや管楽器にくらべ、ヴァイオリンなどの弓で弾く弦楽器は「あこがれ」だけで終わってしまう方が多いと思います。その原因はやはり、演奏の難しさではないでしょうか。ヴァイオリン族の楽器にはフレットが無く、正確な音程で弾くのは大変、ことに大人になってからはじめる人はなおさらです。そこでおススメするのがヴィオラ・ダ・ガンバです。

演奏の難易度
 ヴィオラ・ダ・ガンバ族にはフレットがあり、音程をとるのが容易なため、ヴァイオリン族と違い、初心者でも十分にアンサンブルを楽しむことが出来ます。1〜2週間も練習すれば、簡単な曲なら弾けるようになるでしょう(ヴァイオリンだと、そう簡単にはいきません)。

 また、ヴァイオリン族の場合は、ヴァイオリン弾きはヴァイオリンしか弾けないし、チェロ弾きはチェロしか弾けません。しかしヴィオラ・ダ・ガンバの場合は、バスガンバが弾ければテナーもトレブルも全てほぼ同じ技術で弾けます。調弦はギターに似ており、ギターが弾ける方はすぐに馴染めます。

 難易度を言葉で言うのは難しいのですが、強いて言えばリコーダーと同程度と思ってよいと思います。やさしい曲なら初心者でも弾けますし、極めれば難しくて華麗な曲も沢山あり、とても奥が深い楽器なのです。

レパートリー
 ヴィオラ・ダ・ガンバのレパートリーは、オリジナルにこだわればルネッサンスやバロックの音楽ということになります。しかし、ソプラノ、アルト、テナー、バスという編成を組むことが出来るので、リコーダーアンサンブルの楽譜をそのままヴィオラ・ダ・ガンバのレパートリーにすることが出来ます。リコーダーアンサンブルは、古楽・クラシックからポピュラーまで、膨大な楽譜が出版されています。というわけで、レパートリーに困ることはまず無いでしょう。

楽器の価格
 楽器が大きく複雑なのでリコーダーなどにくらべると少々高価ですが、これは仕方ありません。しかし、同じクオリティーで比べると、ヴァイオリン族より割安で入手することが出来ます。これは、ヴァイオリン族の裏板が膨らんでいるのに対してガンバ族では平らであることが原因です。じつはヴァイオリンの材料で一番高価なのが裏板なので、裏が平らだというだけで原価もかなり安くなりますし、平面だと加工も楽なので、安く作れるわけです。