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ベンゾジアゼピン離脱法(眞弓式)
 ホームページに「ベンゾジアゼピン撲滅運動」などと項目を挙げたせいか、最近ご遠方の患者樣方よりもご連絡や問い合わせを受けることが多くなって来ました。ベンゾジアゼピンを止めたくても止めれない人、その離脱症状に悩む人が多いことを実感しています。
 ベンゾジアゼピンについての詳細は別記しましたので参照して下さい。ここではとして、「以前心療内科でパキシルなどのSSRIを処方されたけど眩暈や嘔気で飲み続けられず自己中止し、その後デパスとソラナックスを毎食後に1Tずつ(一日3錠ずつ)3年間に渡って投与され、さらに眠前にレンドルミンを1T内服している患者さん」を想定します。それらのベンゾジアゼピンを止めたいけど自分で減量すると眩暈や手足のしびれ、動悸や息苦しさが再発する。という状況で受診されたとします。
 この様な状況でベンゾジアゼピン系の薬(=デパス+ソラナックス+レンドルミン)をそのまま漸減中止したり、いきなりSSRI(パキシルやジェイゾロフトなど)やSNRI(サインバルタなど)などの抗鬱剤に置換しようとすると離脱症状の発現や病気本来の自律神経失調症状が再発して上手く行きません。またSSRISNRIは飲み始めに嘔気や眩暈などの副作用が出る事はしばしばです。そこで短時間〜中時間作用型ベンゾジアゼピン系の薬(=デパス+ソラナックス)超長時間作用型ベンゾジアゼピンであるメイラックスに置き換え、さらにSSRIあるいはSNRI(サインバルタなど)を追加します。またベンゾジアゼピン系睡眠薬レンドルミン非ベンゾジアゼピン系睡眠薬アモバンまたは抗鬱剤系のデジレル(レスリン)などに置換します。
 十分に症状がとれるまでSSRISNRI(サインバルタなど)を増量します。落ち着いたらメイラックスを十分な時間をかけて漸減中止します。可能なら睡眠薬アモバンは完全にデジレルに置換します。
 これでベンゾジアゼピンは消失してサインバルタとデジレルだけになります。約1年ぐらいこれで安定した状態がキープできたらサインバルタを漸減中止します。最後は残ったデジレルを漸減中止して行きます。
 ここで大切なポイントは抗鬱剤SSRISNRIは飲み始めに多少の副作用はあっても最終的には習癖性がなくて簡単に漸減中止できるのに対して、ベンゾジアゼピン系の薬剤は鬱病の症状をマスクしますが根治性はなく習癖性が強くてなかなか漸減中止が出来ない、と云う事です。
 最近当院の外来への電話やメールの問い合わせ、実際に受診された患者さんの意向、などから分かった事は、これらベンゾジアゼピン系の薬剤の中止を希望画策される患者さん方はしばしばSSRISNRIはもっと飲みたくない」と思っていると云う事です。これでは絶対に上手く行きません。移行処置としてSSRISNRIは石にかじり付いてでも一定期間飲む必要があります。この覚悟と勇気のない方は当院での治療は引き受けられません。SSRISNRIの飲み始めの嘔気や眩暈は副作用と云うより貴方自身の不安症状の裏返しの事が多いのです。断固として飲み続けてください。

2012.10.6.文責 眞弓久則

追加:この辺の事情を分かり易くまとめると、
ベンゾジアゼピン系の薬物=白髪(=SSRI証、不安障害、うつ病)で使う普通の白髪染めに例えられます。きれいに染まりますが100回使っても白髪自体が治って黒い毛が生えてくるようにはなりません。一方、SSRI、SNRI、三環系や四環系などの抗鬱剤などは「白髪が治って黒い毛が生えてくる」こともある(確率60%)特殊な白髪染め、と理解してみてください。
 ところが、ベンゾジアゼピン系薬剤は以前は「マイナートランキライザー」などと呼んで医者自身も「副作用の少ないマイルドで安全なくすり」であり、一方の抗鬱剤は「ヘビーで副作用も強く、精神科のお医者さんだけが処方するくすり」である、と勘違いしているのです。かくいう私自身も10年ほど前まではそう信じていました。
 最近はNHKなどが「ベンゾジアゼピンの長期使用が認知症を引き起こす」ことを興味本位に放映するものでやたらベンゾジアゼピン恐怖症が増え、(覚せい剤や麻薬中毒、アルコール中毒などと同じく)とにかく少しずつ上手く減量して行きさえすればベンゾジアゼピン中毒を離脱できる、と考える方が多いようです。残念ながらどんなベンゾジアゼピンであっても単純に減量中止しただけでは根本にある不安障害、うつ病、SSRI証が治る訳ではなく、きっと必ず眩暈や動悸、不眠などの症状が再発してきます。

2013.1.27.文責 眞弓久則


Pasted Graphic 1

図1.眞弓式ベンゾジアゼピン離脱法:年余に渡って飲んで来た短時間〜中時間作用型ベンゾジアゼピン系の薬(=デパス+ソラナックスなど)を中止して超長時間作用型ベンゾジアゼピンであるメイラックスに置き換え、さらにSSRIあるいはSNRI(サインバルタなど)を追加します。またベンゾジアゼピン系睡眠薬レンドルミンの代わりに非ベンゾジアゼピン系睡眠薬アモバンまたは抗鬱剤系のアンデプレ(=デジレルやレスリン)などに置換します。十分に症状がとれるまでSSRISNRI(サインバルタなど)を増量します。落ち着いたらメイラックスを十分な時間をかけて漸減中止します。可能なら睡眠薬アモバンは完全にデジレルに置換します。サインバルタを終了した後、最後にアンデプレを中止して行きます。

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