デントリペアによる修理方法は最先端の技術なんですが、このような専用ツールを使って、デントリペア用の専用ライトの写りこみの微妙な変化を見ながら鉄板を直接押し出して直すという今時のデジタル時代に反して非常なアナログな方法です。
デジタルな技術でしたら誰でも同じようにできるのですが、超アナログな技術なものですごく奥が深く技術の到達点というものはありません。
常に研究と技術の向上に励まないと上達の限界点が低いままで終わってしまい、お客様の御要望に答えられないという特殊なものなんです。
デントの場所や、車種によってツールをいろいろ使い分けて修理するのですが、私の場合写真のツールでは足りなくて自分で炭素鋼棒を鍛造・焼き入れし、オリジナルツールを自作して修理しています。
バックドアがボッコリとへこんでしまったかなり大きなデントです。
右上に力が加わったもようでデントの上から右側面にかけて盛り上がっていました。
こんなときはヘコミを押し出す前に高くなっている所(アウティーと言います)を
ポンチで叩き落とします。
こんな感じでコンコンと慎重に叩き落として
行きます。(ポンチングといいます)
この作業がたいへん重要でパナル表面を
めちゃくちゃにしないように確実にアウティーを
落としてゆかなければなりません。
今回は修理時間の7割近くを要してしまいました。
修理前
ポンチング終了後
左の写真がポンチングが終わった状態のヘコミです。
アウティーを落としただけで自分でも驚くほどヘコミが小さく・浅くなりました。
高い所がなくなったのでようやく鉄板を押し出して行きます。
専用ツールでこんな風に少しずつ慎重に押し出して行きます。
鉄板が硬く折れている場所なのでこれがまた大変な
作業なんです。
(心の中ではきたない言葉の連続でした。)
今回使用ツールはこの3本ですが3本とも
自作ツールです。
最初は先端の平たいツールと丸いツールでだいたい
平らにして行きます。(荒出し)
荒出し終了後
荒出しでだいたい平らにはなったのですが、まだ歪みと塗装肌が合っていません。
次は先端の丸いツールと鋭いツールを使って仕上げて行きます。
歪みが無くなり、塗装の肌合わせが終わったら、ポンチの跡を磨いて落とせば
作業終了です。
修理完了
いやーー、難しい場所の大きなヘコミで苦労しました。
でもこんな感じで直りました。