1987年当時の写真で、Free Fish Service と称して繁殖した仔魚を親しい人に無料で配っていた時の繁殖写真です。
ディスカスのペアボンディング(ペアの絆の強さ)は世間で言われているほど強く無く、最初は雑居水槽の中で、比較的喧嘩をしていない個体同士を選択するが、雌雄共に繁殖経験の有る個体同士なら気に入った個体同士を任意に組み合わせることが出来る。もし、慣れていない個体同士であれば最初は小競り合いをするが、3日もすれば、2匹で仲良く産卵床の掃除を始める。こうなれは、水温28度でpH6.8位の水質で、フィルターの水量を絞り水槽の中の水の動きを抑えると、3日位で産卵をします。
仲良くなったペアは2匹で協力し、産卵筒を口で掃除をして産卵の準備を始めます。この状態になると数時間後には産卵が始まります。
産卵は、まずメスが20〜30粒の卵を産卵床に産みつけ、一旦産卵床から離れた間に雄が放精して受精させる。これが終わるとまたメスが産卵する、と言う行動を数回繰り返し、最終的に250粒位の産卵をする。この雄が放精する時に水流が強いと無性卵が多くなるので、水流を弱くしておく必要があるのです。
しかし、外に勤めを持っているサラリーマンが、この産卵シーンを撮影するのは難しいですね。
多くの場合は、昼間に産卵するので、帰宅したときにはもう撮影のチャンスは有りません。また、運良く帰宅後に産卵してくれても産卵筒の向こう側に隠れて産卵することが多く、運良く隠れていないとしても正面に産卵されると良い写真が撮れないので、うまく産卵筒の横に産んでくれるのは、10回の産卵でやっと1回位です。
卵、放精が終わるとペアが交替しながらゴミを口で吹きとばしたり、鰭で煽いで新鮮な水を卵に送り続けます。
交替して雄が休んでいる間、メスが卵の世話をしているところです。
数時間すると卵の世話はオスに交代。こうして3日間24時間休みなく卵の世話を続けます。
孵化してすぐの稚魚は腹から出た粘着糸でその場にブラ下がっていますが、やがて泳ぎだすと親の体にまとわり付き、親の体表の粘膜を齧ります。
4日間位は稚魚の消化器官は未完成で他の餌を食べることは出来ません。親の体について4日目位から孵化したばかりのサイズの小さなブラインシュリンプをつつく様になりますが、1週間は親に付けて、粘膜も食べさせることが必要です。
30分も稚魚に齧られた親は体色が黒くなります。何時までも同じ親について居ると親が疲れるので、30分おき位で、もう一方の親に稚魚を受け渡します。
受け渡す方法は、両親がゆっくりとすれ違う様に泳ぎ、近づいたところで、稚魚が付いている方の個体がいきなりダッシュして稚魚を置き去りにしますと、置き去りにされて稚魚は慌てて近くに殆んど静止しているもう一方の親に付きます。
従って、同じ時刻に両親が同時に稚魚を体に付けていることはありません。
親の体に稚魚がついて4日目位から孵化したばかりのブラインシュリンプを静かにスポイトで与えると、一時的に親から離れてブラインシュリンプを食べますが、すぐに親の体に戻り、親の粘膜を食べます。
つまり、この時の主食はあくまでも親の体表に分泌する粘膜です。
親について1週間位すると、稚魚はブラインシュリンプを良く食べるようになり、ブラインシュリンプを食べた稚魚の腹を観測すると餌の色が赤く透けて見えるようになり、全ての個体の腹が赤くなっておれば親から引き離しても大丈夫なので、親の疲れを回復させる為にも親とは別の水槽に分離しますが、まだ暫くはブラインシュリンプが必要で、ディスカスハンバーグ等を消化できません。
親から分離した稚魚はブラインシュリンプを与えながら、少しずつ細かくすり潰したディスカスハンバーグをスポイトで与え、全ての個体がハンバーグを良く食べるように成ると、ブラインシュリンプを与えるのを止め、小さい体ながら一人前のディスカスとして与えますが、食欲を強くして成長を早め、早く危険な幼魚時代を乗り切るために、水温は32度位と高めに設定します。